研究内容

 

 

代謝栄養学分野の研究は、栄養と代謝を大きなテーマとしながら、阪上グループ、野村グループ、和泉グループなどに分かれてそれぞれの研究テーマで行なっています。臨床研究ではグループ横断的に取り組んでいます。

2023年研究

令和5年度実験動物慰霊祭について(通知)

本学においては,過去数多くの動物を教育・研究のために実験の用に供し、多大の研究成果を挙げて参りました。

これらの実験動物の慰霊祭を下記により行いますので,御参列くださるよう御案内申し上げます。

   記

1 日 時  令和5年9月22日(金)15時から(30分程度)

2 場 所  大塚講堂大ホール

3 式次第  (1)開式のことば

                       (2)黙祷

                       (3)理事(研究担当)あいさつ

                       (4)参列者献花

                       (5)閉式のことば


2023年度研究チームカンファレンス予定






2023年研究チーム

"メダカチーム"

 

遺伝子改変メダカによるスクリーニング系を構築し、新規な治療薬などを探索するチームです。


"野村講師グループ"

 

野村講師をリーダーとして、骨格筋のエネルギー代謝、萎縮、再生機構の解明など筋を総合的に取り組むチームです。


"肥満・糖尿病研究チーム"

 

阪上教授をリーダーとして肥満・糖尿病の病態解明に取り組むチームです。


"脂質・アミノ酸研究チーム"

 

阪上教授をリーダーとして脂質・アミノ酸の新規な機能を検討するチームです。


 脂質・アミノ酸研究チームにより、サンマ油として長らく研究*してきました極長鎖一価不飽和脂肪酸  long chain monounsaturated fatty acid cetoleic acid (22:1n-11) が北欧のEpax社Grøntvedt Biotech社からOmega-11として製品化されました(共同研究先のNIHのYangさんからの情報)。

*Long-chain monounsaturated fatty acids improve endothelial function with altering microbial flora. Tsutsumi R, Yamasaki Y, Takeo J, Miyahara H, Sebe M, Bando M, Tanba Y, Mishima Y, Takeji K, Ueshima N, Kuroda M, Masumoto S, Harada N, Fukuda D, Yoshimoto R, Tsutsumi YM, Aihara KI, Sata M, Sakaue H. Transl Res. 237:16-30, 2021. doi: 10.1016/j.trsl.2021.03.016. 

☞ Graphical abstracts

2023.4.25   HS

"和泉助教グループ"

 

和泉助教をリーダーとして、骨格筋を中心とする臓器連関や疾患性サルコペニアの病態解明に取り組むチームです。


"臨床研究チーム"

 

グループ横断的に臨床研究に取り組むチームです。


柑橘研究チーム"クワトロシトラス"

 

新居さんをリーダーとして(徳島県産の)香酸柑橘の新たな機能性を探索するチームです。



2022年研究


2022年研究チーム

2022年度研究チームカンファレンス予定

9月は212号室での開催です!

10月24日のチームカンファレンスAは中止します。

グループごとに適宜日程を設定してください。

12月5日のチームカンファレンスAは中止します。

12月26日のチームカンファレンスBは中止します。


COVID-19により7月25日、8月1日のチームカンファレンスは中止します。


 

2022年研究グループ横断的チーム


2022年研究

2021年研究チーム

 

 vs.認知症研究チーム

 

リーダーの田中(杏)さんが新たな認知症マウスモデルを作製したことから、認知症への新規な栄養介入などの方法を検討するチームです。

 

 味覚研究チーム

 

川上さんをリーダーとする味覚改善への介入法を検討する臨床研究チームです。

 

 脂肪細胞研究チーム"黒田助教グループ"

 

黒田助教をリーダーとする脂肪細胞の機能や分化やNASH病態の解明に取り組むチームです。

 

 筋・糖尿病研究チーム

 

三島さんをリーダーとして骨格筋を中心とする臓器連関や疾患性サルコペニアの病態解明に取り組むチームです。

 

 脂質・アミノ酸研究チーム

 

三島さんをリーダーとして脂質・アミノ酸の新規な機能を検討するチームです。

 

 メダカ研究チーム

 

別府さんをリーダーとして遺伝子改変メダカによるスクリーニング系を構築し、新規な治療薬などを探索するチームです。

 

 柑橘研究チーム"クワトロシトラス"

 

新居さんをリーダーとして(徳島県産の)香酸柑橘の新たな機能性を探索するチームです。

2021年研究グループ横断的チーム

 

 スポーツ栄養研究チーム"SPRINT"

 

堤講師をリーダーとしてスポーツ栄養の実践に取り組むグループ横断的なチームです。

 

 SDGsチーム"AwaU"

 

堤講師をリーダーとしてSDGsに取り組むグループ横断的なチームです。 

☞ SDGs座談会発表コンテスト

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 大学院臨床コース

 

大学院生で臨床コースを履修するグループ横断的なチームです。

 

 ICU臨床チーム"NSI”

 

ICUで早期栄養管理に取り組むチームNSI(Nutrition Support in ICU)です。

研究紹介

 栄養学の歴史を遡ると、呼吸と燃焼の仕組みを明らかとした生理学の祖ラボアジェからはじまる代謝研究は栄養学のもっとも本質的なものだといえます。当研究室では、代謝栄養学を中心に様々なテーマで研究をしていますが、近年特に注力しているのは筋萎縮時の代謝動態の解明であり、動物やヒトにおいてメタボローム解析をはじめとして様々な角度から研究をおこなっています。代謝産物の解析やシグナル解析やその分子基盤の解明のみでなく、筋萎縮に対する運動や栄養介入も私たちの重要な取り組みの一つです。がん化学療法や糖尿病における味覚障害に対する味覚受容体遺伝子の影響を明らかとすること、認知症や老化における栄養や口腔内環境の影響を細胞やマウス、メダカなどを用いて検討すること、さらには食品及び医薬品素材に関して企業と共同して介入試験へと展開することも主な研究テーマとなっています。

  また、医学部に所属する医科栄養学科として、大学病院栄養部と協力し(阪上教授は病院栄養部部長併任)、特定集中治療室における早期栄養介入も行っています。臨床現場における疑問や課題を基礎研究から解明し、これを臨床現場に活かし、人々の健康や栄養治療に貢献できる研究を目指しています(文責:堤)。

☞ 臨床栄養 Vol.138 No.7(ぷろらぼ研究紹介)より


 

研究の歩みと展望

2020.9.15 DTCR10周年記念誌より抜粋

2020.11.23 一部加筆

1)地域特産物に含まれる機能性成分の分析・抽出法・品質安定化技術の確立及び地域食材を用いた抗肥満・血糖上昇抑制食品の開発や肥満および糖尿病を克服するための医薬品素材の開発研究

 県内外の企業より多くの共同研究・受託研究を受けており、食品の機能性の検討や、新しい商品開発への貢献も行なっている。特に徳島県産香酸柑橘類事業化として、徳島の香酸柑橘類がもつ新しい可能性を探索し、柚子やスダチのみでなく、だいだいと柚子の自然交配種として知られている、ゆこう(柚香)に腸内細菌叢のバランスを改善し、口臭物質の減少などの機能性を見出した(国際特許出願)。ゆこう果汁には抗菌性や静菌性のみでなく、肥満抑制効果も見出しており、現在有効成分の同定を試みている。このような活動を通じて、高齢化や過疎化などの社会的な問題に取り組むプロジェクトして、徳島クワトロシトラス(https://4citrus.com)を立ち上げ活動を展

開している。また、動脈硬化の発症における摂取脂肪酸の組成に着目し、オメガ-3脂肪酸とは異なる新たな機能を有する脂肪酸を同定できたことから、臨床介入研究に取り組み、その医薬品素材の可能性を実証してきた(論文投稿中)。

 

2)様々な代謝物を網羅的に解析しようとするメタボローム解析による生活習慣病や肥満症の原因の特定と早期診断マーカーの探索

 糖やアミノ酸、脂肪酸、ポリフェノールなどの代謝産物を網羅的に解析するメタボローム解析技術を駆使し、各種病態マウスやヒトサンプルから疾患の早期マーカーに予後因子になるような代謝物の同定を試みている。一例を挙げると、ある種のアミノ酸が重症患者の予後因子になることなどを見出している(投稿準備中)。

 

3)PET-CTを用いたインスリン抵抗性評価法確立(研究クラスター1803009)

 PET-CTを用いたサルコペニアの画期的診断法の開発を目指した研究に取り組んでいるが、PET-CTなどを用いた筋のイメージング研究と同時に、イメージング技術を用いた骨格筋のインスリン抵抗性評価法を確立し(Biochem Biophys Res Commun. 528: 499-505, 2020)、糖尿病研究解析プラットフォームを通して広く学内に展開している。

 

4)栄養素研究の新たなモデル動物として遺伝子改変メダカの作製

 小型魚類の中でも全ゲノム配列が解明され近交系が確立し、遺伝学的研究が可能であるメダカを用いて、食品や医薬品の機能を評価するための遺伝子改変メダカを作出して、味覚スクリーニングモデルを確立した。今後は生活習慣病のスクリーニング系の確立を目指す。

 

5)エネルギー代謝を制御する新たな遺伝子の探索と同定

 マウスの発現遺伝子の網羅的解析から、エネルギー代謝を制御する新たな転写因子を同定した(PLoS One. 15:e0233390, 2020)。さらにはメタボローム解析を加えて肥満時のエネルギー代謝調節機構の解明や高運動能指向性SPORTSラットを用いて、エネルギー代謝や糖尿病発症における運動の意義の解明に取り組んでいる(Peptides. 87: 12-19, 2017)。

 

6)脂肪細胞の遺伝子発現制御機構におけるDNAメチレーションの意義とNASH病態形成における脂肪細胞の役割に関する研究

 3T3-L1細胞の発現遺伝子の網羅的解析から、レプチンおよびp53遺伝子の発現制御機構におけるDNAメチレーションの意義を明らかとし(Biochem Biophys Res Commun. 16:S0006-291X(20)30304-30301, 2020. PLoS One. 11: e0160532, 2016)、生体内の脂肪細胞と同等なインスリン感受性を有する培養脂肪細胞の作製に成功した。さらに脂肪細胞の分泌因子に関する研究に取り組みNASH病態形成における新たなアディポサイトカインを同定した(投稿準備中)。

 

臨床栄養学の分野では、以下の課題に取り組んでいる。

7)外来化学療法室の栄養サポート

  当院における栄養サポートチームは、これまで入院患者のみを対象としてきたが、外来患者にも栄養サポートを必要としている患者が多いことをうけて、医科栄養学科教員及び大学院生を中心に外来化学療法室の患者に対して栄養サポート(週5日対応の栄養相談の実施と週1回栄養サポートカンファレンスの実施)を2016年7月1日から開始した。2020年5月に徳島大学病院の栄養部がその業務を引き継ぎ、代謝栄養学分野が担っていたサポート業務は、発展的に解消した。

 

8)がん治療の味覚異常に対する支持療法の開発(研究クラスター1703005)

 がん患者の化学放射線治療における副作用の1つである味覚障害は、患者の栄養状態を悪化させる一因となるが、その発生メカニズムや対処法は十分に解明されてこなかった。化学療法における味覚障害には舌のうま味および甘味受容体であるT1R3遺伝子発現の減少が関係しており、この減少を抑制する「うま味」成分の活用により味覚障害を改善できる可能性があることを見出した(論文作成中)。この業績により堤講師が2017年度の徳島県「県科学技術大賞」を受賞した(右:授賞式より)。研究開発された商品は大学発ベンチャーである株式会社イフリより上市される予定である。

 

9)ICUの早期栄養サポート

 当分野では以前から徳島大学病院救急集中治療部とともにICUでの栄養管理を実践してきたが、2020年度の診療報酬改定で新設された早期栄養介入管理加算「特定集中治療室での栄養管理の評価」の算定に向け、救急集中治療部や栄養部の皆様と協力して新たなサポートチームを立ち上げ、引き続き徳島大学病院栄養部と協力してICUでの栄養サポート実践している。

 

10)疾患サルコペニアの研究

 サルコペニアにおける早期検出システムを確立し、さらにそのシステムを用いて栄養および運動の予防・治療効果を明らかにするため取り組んでいる。特に関節リウマチ患者のサルコペニア増悪因子として飽和脂肪酸摂取を明らかとした(論文投稿中)。また重症病態におけるICU-AWの筋萎縮マーカーとして尿中タイチンの意義を救急集中治療部の皆様との共同研究で明らかとした(Crit Care Med 48:1327-1333, 2020)。現在は慢性疾患のサルコペニア病態におけるタイチンの意義に関して検討を続けている。

 

11)スポーツ栄養や高齢者栄養に関する取り組み

 スポーツ選手のパーフォマンス向上を目的に、栄養学・運動生理学・食品機能学などの科学的な根拠に基づいて、徳島県の高校野球部などで栄養サポートを実施し、また地域高齢者栄養にも取り組んでいる。

 


各グループの研究内容は下記のとおりです。

 阪上グループの研究 

                ~肥満・糖尿病・メタボリック症候群に関する研究~

 

1.脂肪細胞に関する研究/黒田雅士助教

2.SPORTSラット(高運動指向性ラット)に関する研究

3.食品機能研究(1)(極長鎖脂肪酸、リンゴポリフェノール)に関する研究

4.筋代謝とPET-CTイメージング研究サルコペニア診断法開発クラスター/堤理恵講師

5.メダカ生活習慣病モデル研究/堤理恵講師 

 

堤講師グループの研究 

          ~アミノ酸・臨床研究に関する研究~

 

1.疾患性サルコペニアの栄養代謝とその機序解明 

2.がん治療の味覚異常に対する支持療法の開発に関する研究 

3.重症病態における代謝破綻に関する研究

4.アミノ酸によるミトコンドリア機能制御機構に関する研究

5.食品機能研究(2)(徳島県産香酸柑橘類事業化)に関する研究

6.高齢者栄養に関する臨床研究

7.スポーツ栄養に関する臨床研究

 

黒田助教グループの研究 

           ~脂肪細胞・NASH・エネルギー代謝に関する研究~

 

1.脂肪細胞に関する研究

2.NASHに関する研究

3.肥満時のエネルギー代謝調節機構の解明

 

2019年4月現在


阪上グループの研究

~肥満・糖尿病・メタボリック症候群に関する研究~

 肥満・糖尿病・メタボリック症候群の病態解明や新規治療法の開発を目的として、肥満に焦点を当てて研究しています(下図)。すなわちエネルギー過剰病態である肥満・糖尿病に対して、脂肪細胞・運動・栄養素などの観点から臨床応用可能な研究基盤の確立を目指しています。

 

1.脂肪細胞研究グループ・黒田グループ

 2型糖尿病の病態解明や新規治療法の開発を目的として、肥満に焦点を当てて研究しています。2型糖尿病の激増の主因として肥満症患者の増加が挙げられますが、脂肪組織を形成する主な細胞の一つである脂肪細胞の発生・増殖・分化機構、肥大化や細胞死制御機構の解明から脂肪細胞の生活史の全容を明らかとすることで、新たな肥満・糖尿病病態治療法の確立を目指しています(上図)。

 2.SPORTSラット研究グループ

☞ SPORTSラット研究会

 

アディポサイトカインなどの液性因子に着目して、中枢における運動制御機構の末梢シグナルの役割解明を目指しています。レプチン、アディポネクチン、グレリンの運動制御機構と標的部位を同定し報告しています。さらに高運動能を有するSPORTSラットに見出された新たな表現型に関しても、その分子機序の解明に取り組んでいます。

 

  ラット自発運動量測定装置

 3.脂肪酸研究グループ・升本グループ

 

脂肪酸の肥満病態に対する影響の検討に加えて、動脈硬化の発症における摂取脂肪酸の組成に着目しています。すなわちオメガ-3脂肪酸とは異なる新たな機能を有する脂肪酸を同定できたことから、臨床介入研究に取り組んでいます(下図)。

 


堤グループの研究

グループは別名「臨床チーム」とも呼ばれており、臨床現場での研究も多く行なっています。テーマは大きく4つで、大学院生を中心に研究を進めています。

1. 慢性関節リウマチにおける疾患性サルコペニアの栄養代謝とその機序解明

  これまでの当研究室での臨床データより関節リウマチ患者では体重は変化しないにも関わらず骨格筋減少が著しいことがわかってきました。またそういった患者さんの食事調査から、筋肉量減少は食事摂取量が少ない人ではなく、むしろ多く食べている人に見受けられることも明らかになってきました。現在は徳島大学病院呼吸器・膠原病内科および市内木下病院のご協力のもと、臨床データを得ながら、その機序については疾患モデルマウスを用いて研究を行なっています。

 

2.がん患者における味覚異常の機序解明とそれを改善する食品開発

 がん患者が放射線・化学療法中に生じる味覚異常は、食欲不振や体重減少、QOLの低下などに影響するだけでなく、治療の中断にもつながる深刻な副作用です。私たちはこれまでに徳島大学病院耳鼻咽喉科との共同研究で、化学療法中に生じる味覚異常に味覚受容体の発現変動が関係していることを報告しました(Tsutsumi et al.2015)。現在はその機序解明に取り組みつつ、他の疾患でみられる味覚異常と受容体の関係、これを制御する食品成分を用いた食品開発などを行なっています。

 

3.重症病態における代謝破綻とタンパク質投与の有効性の検討

 重症患者さんの栄養管理はその必要性が広く認識されている一方で、投与量や栄養組成、特殊栄養素の必要性などについては十分な根拠がないのが現状です。わたしたちは徳島大学病院救急・集中治療部の先生方と共に、患者さんのエネルギー代謝や体組成を評価しながら、重症患者の代謝や体組成の変化の特徴を捉えるとともに、これに対する効果的な栄養管理の検討を行なっています。

 

4.アミノ酸によるミトコンドリア機能制御機構

 アミノ酸とインスリンシグナルに共通するmTORに注目して、アミノ酸の新しい機能を見出すべく、細胞及び動物を用いて研究しています。

 

5.その他

 ・県内外の企業より多くの共同研究・受託研究を受けており、食品の機能性の検討や、新しい商品開発への貢献も行なっています。

 


筋イメージングの研究

 堤理恵助教をヘッドにして、ラボ横断的に研究グループを構築しています。

 

☞ 筋代謝とイメージング研究会